「なぜドレミはCから始まるのか?」の続きです。
ドレミがCから始まるのもそうですが、日本語(いろは歌)の音階も、なぜハニホで始まるのか。イロハからじゃ駄目なんですか!
答えはネットで調べれば分かりますが、「そんなの無責任だゎ!」ってことになりますので、僕なりの解釈を交えて分かり易く説明しようと思います。
ポイントは2つ。
1、鶏が先か、卵が先か。
2、ドレミファソラシドの力(ちから)!
まず、鶏と卵はどちらが先に存在したか分かりませんが、ここで言いたいのは、音の名前は(AB)CDE...が先にあって、あとからドレミ…という言葉を充てたということですっ!
古代ギリシャの(おそらく弦)楽器で、当時出すことのできた一番低い音をAと決め、順番にABC...と音に名前を付けていきました。やがてときが経って、Aをラ、Bをシと、それぞれの音に名前を付けました。(ドとかレとかミとかいう言葉は「聖ヨハネ賛歌」の歌詞から取ったのが始まりで、もともとドはウトだったり、シが無かったりしましたが、時代を経ていまのドレミファソラシになりました。)
ですので、ドレミがCから始まっているのではなくて、ABC…が“ラ”から始まっているのです。
それから、ポイント2つめですが、私たちは義務教育により音楽の授業でドレミファソラシド〜♪というドから始まる長調の音階を叩き込まれています。それによって日本人の多くはドレミファソラシドの相対的な音感を持っていると言われます。
どういうことかと言うと、ピアノなどでハ長調、あるいはト長調でも何でも、長調の音階を弾くと(絶対音感の人を除き)「ドレミファソラシド」と聴こえますし、一音でも音がずれていると、違和感を感じます。例えば、ドレミファソ#ラシド〜って鳴ったら、「ん?なんか変だな」って思うのです。それは、頭に叩き込まれている長調の音階(ドレミファソラシド)と違うと認識できるからです。
ちなみに短調の場合には、たとえ音がひとつずれていてもこうはなりません。それはラシドレミファソラ〜という短調の音階がドレミファソラシド〜という長調の音階ほど聴き馴染みが無いからです。もしラシド#レミファソラ〜って鳴ったら、「ん?」って思うかも知れませんが、それは「3つ目の音が変だなぁ」、ではなく「なんか後半が変だなぁ」と思うのです。つまり“イ短調”ではなく“イ長調”として聴いてしまうということです。(実際に楽器やスマホのピアノアプリ等でラー、シー、ド#ー、レー、ミー、ファー、ソー、ラーと弾いてみましょう。)
数字を12345・・・と数えるのと同様に、あるいはアルファベットをABCDE・・・と順番に言うように、音階もドレミファソラシド〜と、あくまでドから始まるという感覚、それがつまり義務教育で叩き込まれたドレミファソラシドの力なのです!もし短調の曲が日本の音楽の大半を占め、長調ではなく短調の音階(ラシドレミファソラ)が音楽の授業などで日本人の頭に叩き込まれていたら「なぜドレミはCから始まるのですか?」という質問自体起こらないということです!
(義務教育批判じゃないですよ。)
※ここでは長調の音階=長音階、短調の音階=(自然)短音階として説明しています。
さて、まとめますと「なぜドレミはCから始まるか?」に対する答えですが、
「音の基準がラ(A)だからです。」
ということです。
「なぜラが基準なんですか?」とさらに追い打ちをかけてくるような人には、「国際的にA音を440HZで基準音としたから」とか「オーケストラでもラ(A)の音でチューニングするでしょう?」とか「ピアノの一番低い音もラ(A)から始まってるでしょう?」と言いましょう。だいたいの大人はこれで分かって(なくても分かったフリをして)くれます。
が、それでもまだ「じゃあ何でABCD…の音の順番に、ドレミファ…と名前付けなかったんですか?」
とか言ってきたら、もはや完全に頭がドレミファソラシドになってる証拠ですので、最初の解説文を説明してあげましょう。聖ヨハネ賛歌からの階名の成り立ちもさらに掘り下げて説明しなくてはならないかも知れません。ただ詳しく説明すればするほど音楽用語も増え、回答から更なる質問が生まれ、
“質問が先か、答えが先か”
という無限ループに陥るので気をつけましょう。
さて、次回は(いつになるか分かりませんが。)「なぜシ♯と書くのか?」について説明していきます。
この質問に音楽用語を使わずに、ひとことで返せる魔法の言葉を知っている方はこっそりお知らせください。